ヴィベケ氏のセミナー要約
犬は食料、愛情、運動だけでなく、本能(持って生まれた能力)を刺激する仕事も必要としています。それぞれの犬種は人間によって目的ごとに改良され、繁殖されてきました。例えば、作業犬は、人と共に仕事をするために繁殖されてきました。しかし、現代ではその多くが愛玩犬として飼育されています。彼らの本能は刺激されず、仕事も与えられずに人との生活を強いられるため、問題行動へと発展します。
日本では、犬に食料や運動、愛情を与えて飼育しますが、仕事を与えている人はまだまだ少ないと言えます。これは、子供に教育を与えずに育てているようなものなのです。
例えば、芸術的、音楽的才能を持った人間の子供がその才能を伸ばすための教育を与えられず、生きる上で必要最低限の食事と運動、愛情だけで育てられると、生まれ持った才能をまったく活かすことなく生涯を終えることになります。
犬も同様です。ただ生きるためだけの生活を強いられていると、次第に何も期待しなくなり、もぬけの殻となるか、能力を発揮できずにストレスから問題行動をとるようになります。
彼らの生まれ持った能力(本能)を刺激する仕事を与えない飼い主に、犬は魅力を感じるでしょうか。
犬が飼い主に魅力を感じるのは、彼らが必要としている仕事をどれだけ与えてくれるかということです。広々としたドッグランでリードを離すと、犬はどのような行動をとりますか?
匂いをとりにいく。他犬と遊びだす。飼い主から離れて遠いところへいく。あるいは飼い主の方を見て目を離さない。
この様に自由な選択を与えた時に犬が何を選ぶかで、彼らの優先順位が分かります。残念ながら、多くの日本の犬は飼い主を選んでいません。また、呼んでも飼い主の元へ戻ってくることすらしないのが現状です。
「この現状を変えたい」「人と犬がお互いに尊重して、より豊かに生活する社会作りに貢献したい」ヴィベケ氏はこうした思いで、日本での活動を広めようとしています。